TARMAC SL8 ついに・・・・

 


 


先日満を持して発表となったSPECIALIZED TARMACの新型、TARMAC SL8。
そうSPECIALIZEDのレーシングバイクの主軸であるTARMACシリーズの第8世代。

 
 

既にスキのない完成度を誇っていたTARMAC SL7。
間違い無く2020年世代(?)のトレンドを築いたSL7。他のメーカーでもSL7の設計に追従したモデルが多く見られました。誰しもが認める最新鋭・最速のバイクでした。
そんなTARMAC SL7の発表から3年の歳月を経てSL8はどう進化を果たしたのか。
 
 
TARMACの開発の哲学、コンセプトは今さら私が語るまでも無いでしょう。
改めて確認することと言えばTARMACと言えば「速さ」をとことん追い求めた、さらに言えば世界最速を実現するためのレーシングバイクです
では最速を実現するための設計・開発のアプローチはどうなのか、(あるいはそもそも最速をどう定義するか…)ここが各メーカーの腕の見せどころとなるわけです。
  
 
例えば速さを求めるあたって大切な、しかし相反し得るファクターがいくつかあります。
「軽量性」「剛性」「エアロ性能」「コンプライアンス」といったものです。
これらを極限まで高い水準で両立しつつどのような匙加減、味付けをするかでバイクの性格と性能が決まると言って良いでしょう。
 
  
TARMAC SL7から提唱された新しい「最速バイク」のあり方はオールインワンの速さ、すなわち地形を問わずどのシチュエーションでも速いバイクでした。

 
しかしオールインワンですがオールパーフェクトではなかったことは認めざるを得ませんでした。
たとえばエアロ性能という側面で評価すれば大きな差こそありませんが「VENGE」の方が優れていましたし、コンプライアンスは「SL6」の方が高かったという声もあります。
しかしトータルでの優れたバランスはこれまでのバイクからは一線を画して卓越したものでした。

ではSL8ではどう進化を果たしたのか。アドバンテージとなる具体的なポイントを以下にまとめてみました。


■重量
フレームセット 685g (S-WORKS 56サイズ)※non S-WORKSは780g

驚異的な軽量性。完成車パッケージでアッセンブルしてUCIのレギュレーションを下回らないギリギリの重量。
一昔前だと何か実験的なフレームでしか成しえなかった重量ですね。
登りでは当然大きなアドバンテージとなる軽さです。とにかく軽い。


右がSL7、左がSL8です。ショッキングな写真ですが、この状態で同じ重量になるということでいかにSL8が研ぎ澄まされて軽いかということがわかります。

シートピラーはSL7からさらに細く。SL8のシートチューブの太さがSL7のシートピラーに相当するという。
その細さからDi2のバッテリーはシートピラー内に内装することはできず、ピラー下に吊り下げる仕組みとされました。
これは重心位置をより下げられるメリットもあると言えます。
シートピラーのヤグラは従来の1本締めからALPINIST シートポストでも採用されている前後2本締め式に変更されました。ちなみに固定ボルトはチタン製。


その他にもディレーラーハンガーやスルーアクスル、ブレーキのマウントパーツまでAETHOSのパーツと同じものを採用。細かなパーツ類に至るまで妥協無く軽量性を追求しています。

■エアロ性能

あのVENGEをも超えるエアロ性能。
軽量性とエアロ性能は両立困難な二律背反の関係にありますが、エアロ性能を大きく作用する部位はとことんエアロを追求して影響の小さい、もしくはほとんど影響のない部位は軽量性を追求。最低の重量増で最大のエアロ性能を獲得。

この蛍光グリーンのペンキまみれのSL8の写真を見たことがある人も多いと思います。
自社保有の風洞実験設備「win-tunnel」において徹底した風洞実験によってどう空気が当たり、抜けていくのかを視覚的に見やすくしたものです。
莫大なコストのかかる風洞実験ですが、自社に設備があるからこそ繰り返し納得いくまで実験ができるのはスペシャライズドの大きなアドバンテージ。そこで導き出された形状はエアロダイナミクスにおける確実な答えと言って良いでしょう。
 
ちなみに↑写真ではバイクは静止、ライダーもいない状態ですが、もちろん実験は実走状態にて実施しているとのことです(当たり前か^^;;)


 目を引くのはこの特徴的なヘッドチューブでしょう。この少し前方にせり出したヘッドチューブの形状「ノーズコーン」がよりエアロ効果を高めるデザインとなっています。
フォークコラム径は変わっておらず、従来通りのステムもそのまま使えます。



 
■剛性/コンプライアンス
重量剛性比はSL7と比べて33%向上。これは何もいたずらに剛性を上げたというよりは重量剛性比ですからフレームそのものの重量が軽くなったことで数値が向上したと言えます。相対的にも見てもSL7同等の剛性感は担保されていると言えるでしょう。

’打てば響くバイク’には相応の剛性が不可欠ですが、速さを追求した設計のピュアレーシングバイクは乗り心地やコントロール性が度外視されているものも少なくありません。
その一方でSL8はコンプライアンス(柔軟性)は6%向上しているという。これはSL8のキーベネフィットともいえるポイントで、AETHOSにも感じられたような自然なライドフィーリング、何時間でも乗っていたくなる気持ち良さがが感じられる仕上がりになっています。


 
BB周り、ステーのつくりも興味深いです。
今時のレーシングバイクとは思えないようなスリムなBB周り、細いステー。
BB周りはペダリングによって空気の流れは絶えず乱れているスポット。エアロの造作を求めるよりもチューブそのものを細くする方がエアロ・重量の両方にとって利点が大きいとの考え。
細身のステーは軽量性だけでなくライドフィーリングの向上にも一役買っています。
 



この画像は見覚えがある方もいるかもしれません。
「RIDER FIRST ENGINEERED」
スペシャライズドのバイクを語る上で欠かせない技術の一つです。
 
フレームはサイズによってライドフィーリングが左右され得るものです。何となく想像してみてもわかることですが、三角が小さい程硬く、大きい程しなりやすいという理屈です。
 
しかしスペシャライズドのカーボンバイク、例えばFACT12となるS-WORKS TARMAC SL8となるとフレームは数百にも及ぶピースからつくられます。コンピューター解析を経てその一つ一つのレイヤリングを最適化し、どのサイズでも性能に偏りなく最適なパフォーマンスが発揮できるように設計されています。(無茶苦茶手がかかっています)

 

より速くより乗りやすく誰もが乗って気持ち良いバイク。それがTARMAC SL8でしょう。

商品ラインナップ、実際に乗ってみてのレビューはまた改めまして!

 

 

長文駄文失礼しました!

 

 

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